エントリー

いや出したのは当日なんですけどもね?
こっちに載せるのを忘れてたんだ…というわけで追記にバレンタインリチャソフィ?リチャ←ソフィ?な小話突っ込んであります。
渡す瞬間もいいけどそこまでの過程っていいと思うの…!

 

で、畳む前に通販のお知らせ。
本日(2/14)までに届いているメールには全て返信済みです。
万一不着の場合はご連絡下さいませ。


 

“あのねリチャード、これあげる。シェリアと一緒に作ったの。ちゃんと味見したけどまずくなかったよ、だから食べてくれたら嬉しいな”

 一言、というには長いけれど、そんなに難しくもない長さのその言葉を繰り返すのはもう何度目になるだろうか。胸の内でなぞるだけではまだ不安で、ぶつぶつと口の中で呟く姿は多分ものすごく変なのだろう。一番目立たない船の隅っこにいても、ちらちらとこちらを見る人の視線を時折感じる。でもそんなことも全然気にならないくらい、今は緊張でいっぱいだった。
 はう、と短く息を吐く。それから吸って、また吐いて。ゆっくりと深呼吸を続けても、どきどきする心臓はなかなか落ち着いてくれない。ぺたり、とほっぺたを触ってみた。あったかい。触れた手のひらは別に冷たくないのに。ああだめだ、きっと今わたしの顔は真っ赤になっているんだろうな。
「……どうしよう。胸が苦しいよ」
 そわそわして、きゅんとなって、それからどきっとしてぎゅうっと締め付けられる。まるで全力で戦闘をこなした後みたい。わたしはじっとしているのに、こうしてただ立っているだけで、勝手にそうなってしまうのだ。
 手に持った袋の端をきゅっと握る。その中には、大切な贈り物が入っていた。昨日シェリアに教えてもらって、ほとんど一人で作ったチョコレート。わたしなりには上手くできたし、シェリアもアスベルも美味しいって言ってくれた。だけどリチャードは、どうだろう。
「美味しいって……言ってくれるかな」
 リチャードはとても優しいから、まずくてもそうとは言わないはずだ。でも欲しいのはそんな思いやりじゃない。本当に、心から美味しいって、そう思ってもらえたら。
「友達に贈り物をするのが怖いなんて、知らなかった」
 昔のラムダより、とは言わないけれど。強敵に立ち向かうよりずっと怖い。
 逃げ出したい、でも逃げたくない。会いたい。リチャードに会って、これを渡して、ちゃんと伝えて、それから……それから。

 両の目をぎゅっと、固く瞑った。
 三つ数えて、それを開く。
 よし、と気合いを入れた瞬間、着港を知らせる汽笛が鳴った。

ページ移動

コメント

  • コメントはまだありません。

コメント登録

  • コメントを入力してください。
登録フォーム
名前
メールアドレス
URL
コメント
閲覧制限

ユーティリティ

archive

clap

拍手送信フォーム
メッセージ

  (御礼SS:R*S×3種)

Support